あれほどいつも

 

お風呂から出たら

カナから ラインがきていた

親が離婚して 母親と弟と三人で

東京のおばあちゃんちに住むことになって

転校するという衝撃の報告だった

信じられなかった

カナには そんな気配なかった

いや もしかしたらあったのかも

あたし達が 気づかなかっただけかも

同じクラスで 同じグループで

あれほどいつも いっしょにいたのに

学校の外でも 家にいるときも

あれほどラインで つながってたのに

「ずっと、言えなくてゴメン」

カナからのラインは

その言葉で終わっていた

あたしは ただただむなしかった

あたし達の誰ひとりとして

カナにとって そういう話を

打ちあけたくなる存在ではなかったのだ

学校で あたし達といるとき

昨日のテレビの話とかしながら

カナは 普通に笑っていたけど

本当は なにを思っていたんだろう

夜 家であたし達とラインしてるとき

壊れていく家族の中で

本当は どんな時間を過ごしていたんだろう

カナにとって あたし達は

どれほどの存在だったんだろう

あれほどいつも いっしょにいたのに

あれほどラインで つながってたのに