サイン

 

新人戦の出場メンバーが発表されてから

部活のみんなが よそよそしくなって

それから 無視されるようになって

一週間が立つ頃 ユミからメールが来た

「みんな、アヤカに嫉妬してんだよ。

一年で、アヤカだけ試合に出られて。

とにかく今は練習に集中して。

勝って、見返してやりなよ」

胸の中にたまっていた泥が

いっきに 取り除かれたような気分だった

どんよりと空を覆っていた雲が

いっきに 流れていくような気分だった

久しぶりに ご飯がおいしかった

ユミが学校や部活では

無視の輪に参加せざるを得なくても

あたしはユミを卑怯とか

ビビリとか ズルイなんて思わない

だからユミ 謝ったりしないでよ

あたし 本当に感謝してるんだよ

こうして たったひとりでも

たとえ こっそりとでも

実は励ましてくれてる子がいるだけで

あたしがどれほど救われてるか

どれほど強くいられるか

言葉でなんて 表現できないくらい

あたし 絶対に勝ってみせるよ

勝った瞬間

観客席のユミを見るから

それが あたしからユミへの

「ありがとう」の サインだから