勉強ができるやつほど

 

高校卒業したら 調理士の学校に行きたい

調理士免許とって 料理人になって

いつか 自分の店を持ちたい

親にそう言っても あんまり喜ばない

「お前は勉強できるんだから、もったいない」

「将来の夢なんて、これから変わるんだから

とにかく学歴はつけといたほうがいいわ」

「どうしても料理人になりたければ、

大学出てから専門学校に行けばいい」

大学には行く気ないけど

高校には行くわけで

だったら地元の名門高卒のほうがいいか

そう割り切って 毎日勉強してる

でも ときどき不安になる

もし 第一志望に受かったら

一流大学をめざすやつばかりの中で

調理の専門学校に進学するだけの信念が

僕にあるだろうか

やっぱり学歴が欲しくなるんじゃないか

結局 大学に進学したら

せっかく学歴あるんだから

活用しないともったいないかなとか

学歴不要の職業は いつでもなれるから

ひとまずは 学歴がないとなれない仕事に

ついてみたほうがいいんじゃないかとか

若いうちは できるだけ

いろんな経験したほうがいいんじゃないかとか

あれこれ理由つけて 就職活動して

結局 料理人にはならない人生を

進むことになってゆく気もする

「学歴は、あるにこしたことはない」

みんな そういうけど

はたして 本当にそうだろうか

学歴を持つことで失うものだって

実はけっこうあるんじゃないか

勉強ができるやつほど

高学歴を手にしたやつほど

本当はなりたい「学歴がいらない職業」から

遠ざかってしまうんじゃないか

本当は 大工に憧れてたのに

県庁の職員になった父さんみたいに

本当は パティシェになりたかったのに

銀行に就職した母さんみたいに