ぶっきらぼう

 

学校にいるときの

あたしはすごく愛想がいい

クラスの中で自分の居場所が

なくなることをひどく恐れて

いつも 明るくニコニコして

笑ったり びっくりしたり

気にさわることは言わないように

いつも 気をつかってる

相手が退屈しないように

いつも 話題を探してる

だから トモダチと長くいると

いつも すごく疲れてしまう

そのぶん 家にいるときは

ものすごく ブスッとしてる

お母さんが なにか言っても

「べつに」とか「わかんない」とか

「ウルサイなぁ」とか 平気で言う

トモダチには考えられない

ぶっきらぼうな態度をとってる

「その態度、もうガマンできないっ」

ある日 とうとうお母さんが怒鳴った

ものすごくびっくりした

心臓が 止まるかと思った

怒鳴られて はじめて

お母さんを どれだけ

傷つけてきたかを思った

あたしはね 学校で

毎日 気をつかってクタクタなの

こういう態度をとっちゃうのは

お母さんがあたしにとって唯一の

気を使わないですむ人だからだよ

あたしがどんな態度をとっても

お母さんはあたしを 好きでいてくれるから

あたしを 裏切ったりしないから

学校のトモダチは そうじゃないから

そう言いたかったけど 言ったらきっと

心配するから 言えなかった

あやまることも できなかった

かわりに その日の夜の

お夕飯の あとかたづけをした