ダイちゃん

 

スポーツって

身体だけじゃなくて心も鍛えるもので

スポーツをつうじて友情とか

仲間との絆とか団結とかを

育んでいくものなのに

僕は 全然そうじゃないです

あいつより僕のほうがうまいのにとか

あいつさえいなければ

試合に出られるのにとか

たまに試合に出られても結果が出ないと

誰かのせいにしたくなるし

ライバルが試合に出ると

表面上は応援しながら

ミスしろって本気で思ってます

もっと正直に言うと

ケガしないかなとか思ってます

だから 僕みたいなヤツは

スポーツをやるべきではないんです

だからもう 部活を辞めようと思います

ときどき うちにご飯を食べにくる

お母さんの弟の ひとり暮らしのダイちゃんと

夜 駅までの道を 並んで歩きながら言った

最後のほうで 少し 泣きそうになった

俺も そうだったよ

試合に出たい気持ちが強ければ強いほど

みんな そういうこと思うもんだよ

でも そうやって自分を冷静に見つめて

自分の卑しさを認めるのって

実はすごく 難しいことなんだよ

大人になっても なかなかできない

だけどリョウタは

十四歳で それができてる

ちょっと 負けた気がする